徳川美術館 開館90周年記念特別展 国宝 初音の調度

徳川美術館 開館90周年記念特別展 国宝 初音の調度

10年ぶりの公開!絢爛豪華な婚礼調度の傑作

開館90周年を迎える徳川美術館で、国宝「初音の調度」が10年ぶりに一挙公開。江戸時代、将軍家の威信をかけて作られた豪華絢爛な婚礼調度です。
金や漆で美しく飾られた全70点が揃って展示され、歴史の息吹と職人技の粋を堪能できます。

姫君様の嫁入り道具とは?千代姫と「初音の調度」の物語

「初音の調度」とは、江戸時代初期、三代将軍・徳川家光の長女である千代姫が尾張徳川家のニ代当主である徳川光友に嫁いだ際に用意された婚礼調度の一式。平安文学『源氏物語』の「初音」の巻にちなみ、意匠や装飾には物語のエッセンスがちりばめられています。
その世界観はまるで一枚の絵のようです。

国宝 初音蒔絵三棚飾り 霊仙院千代姫(尾張徳川家2代光友正室)所用 江戸時代 寛永16年(1639) 徳川美術館蔵

将軍家の姫として生きた誇り高き千代姫

千代姫は、嫁ぎ先の尾張徳川家でも「姫君様」として特別に扱われ、その後に誕生した弟の家綱と綱吉、2代にわたる将軍の姉として、尾張家と将軍家の架け橋となって尾張徳川家の繁栄を陰で支え続けました。
そんな千代姫の物語を初音蒔絵調度と作品解説のパネルにより、わかりやすく物語を読み解くことができる展示となっています。

初音蒔絵調度の紹介展示 国宝 初音蒔絵貝桶(はつねまきえかいおけ) 徳川美術館蔵
国宝 初音蒔絵貝桶(はつねまきえかいおけ) 徳川美術館蔵

最高峰の美を誇る「初音の調度」の誕生

千代姫の婚礼に合わせ、蒔絵師・幸阿弥長重(こうあみ ちょうじゅう)が幕府の命を受けて指揮し、寛永16年(1639)に完成しました。長重は天皇家や大名家の道具を多数製作した名高い蒔絵師で、多くの職人を率いて短期間で制作を実現。
調度類の数は当時200件とも、300件とも推測されており、現在では約70点が現存。他の大名家の婚礼調度が散逸する中、これほど多く残るのは極めて珍しく貴重です。

国宝 初音蒔絵大角赤手箱(はつねまきえおおすみあかてばこ) 徳川美術館蔵

「初音」に込められた雅な物語の世界を読み解く

「初音」という言葉は、源氏物語の一場面からとられたもの。春を告げる鶯の初音に託された想いや情景が、調度の意匠に巧みに表現されています。文学と工芸が融合したその美しさには、当時の人々の感性や教養が色濃く表れており、見どころのひとつです。

初音蒔絵文台(はつねえまきぶんだい)・硯箱(すずりばこ)の拡大

母の思いが宿る和歌「初音」に込めて

調度のデザインには「初音」の帖に登場する和歌が隠されています。母が娘を思う心情を詠んだ歌が、細やかな装飾の中に文字として紛れ込んでおり、「葦手(あしで)」という高貴な家だけが使える技法で表現されています。

初音蒔絵硯箱(はつねまきえすずりばこ)(蓋表)の意匠で見る葦手(あしで)文字の配置

伝統美が今によみがえる、日本の美意識を感じて

何百年も前につくられたにもかかわらず、色褪せることのないその美しさ。そこには、日本人が大切にしてきた「用の美」や、自然との調和を重んじる感性が息づいています。現代の私たちにも響く、美の本質と出会える展示です。

国宝 胡蝶蒔絵碁盤・碁笥(こちょうまきえごばん・ごけ) 徳川美術館蔵
国宝 初音蒔絵刀掛(はつねまきえかたなかけ) 徳川美術館蔵

修理・調査で見えた、工芸技術の高さと素材の美しさ

この10年の間に進められてきた修理やX線CTスキャン調査によって、「初音の調度」に使われた素材の品質や職人技の緻密さが改めて明らかになりました。蒔絵や螺鈿細工、織物など、時代を超えて輝き続ける美の結晶が、現代の私たちにも新たな感動を与えてくれます。

国宝 初音蒔絵色紙箱(はつねまきえしきしばこ)と国宝 胡蝶蒔絵手箱(こちょうまきえてばこ)
X線CTスキャン調査で明らかになった構造を展示

展示構成は3部仕立て!時代と物語をたどる贅沢な空間

展覧会は三つのテーマに沿って構成されており、調度の芸術性だけでなく、千代姫の婚礼に込められた意味や背景、平安文化とのつながりまで丁寧に紹介されています。流れるような展示構成は、まるで物語のなかを歩くような没入感を与えてくれます。

国宝「初音の調度」の構成と数え方

展覧会をもっと楽しむためのおすすめポイント

展示を最大限に楽しむためには、事前に千代姫や源氏物語の「初音」について少し予習しておくのがおすすめ。会場では図録も用意されており、より深く作品世界に浸れます。お土産にぴったりのグッズもあるので、訪れた記念にもどうぞ。

2025年度 徳川美術館・名古屋市蓬左文庫 特別展のご案内

徳川美術館・蓬左文庫開館90周年記念
夏期特別展
時をかける名刀

2025年6月14日(土)-2025年9月7日(日)
尾張徳川家に伝わる名刀や刀装を中心に、歴史に名を残した武将たちにゆかりのある品々を紹介します。華やかなエピソードや戦乱の時代をくぐり抜けた物語とともに、刀剣そのものの美しさや魅力を楽しめる展覧会です。

徳川美術館・蓬左文庫開館90周年記念
秋季特別展
尾張徳川家 名品のすべて

2025年9月13日(土)-2025年11月9日(日)
昭和10年に名古屋で開館した徳川美術館と、のちに名古屋市に移管された蓬左文庫は、尾張徳川家ゆかりの貴重な品々を守り続けてきました。本展では、重要文化財を含む名品や資料を通して、90年にわたる両館の歩みとその魅力を紹介します。

徳川美術館開館90周年記念
特別展
国宝 源氏物語絵巻

2025年11月15日(土)-2025年12月7日(日)
国宝「源氏物語絵巻」は、日本を代表する貴重な絵巻です。徳川美術館の開館90周年を記念し、今回は10年ぶりに名古屋で全場面をそろえて特別公開します。この貴重な機会に、美しい物語の世界をご堪能ください。

イベキャン+からのお知らせ
11月に開館90周年を迎えられます徳川美術館様よりイベキャン+会員の皆さま(登録無料)へ、ペアチケットをプレゼント!
応募期間4月23日(水)〜4月25日(金)
チケットプレゼントの詳細はこちら
https://evecamplus.com/event/detail/2165

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