名古屋で開催中の展覧会!特撮とアニメを融合させた庵野秀明の傑作の全貌に酔いしれよ! - 無名時代の夢の芽生えから最新作に至る軌跡を余すところなく体感できる創作の原風景への誘い

名古屋で開催中の展覧会!特撮とアニメを融合させた庵野秀明の傑作の全貌に酔いしれよ! - 無名時代の夢の芽生えから最新作に至る軌跡を余すところなく体感できる創作の原風景への誘い

【庵野秀明展】が2024年4月13日(土)に名古屋・金山南ビル美術館棟で開幕した。
開幕からすでに3度会場を訪れている「特撮ファン・田中」が、当展覧会の魅力をお伝えする。

開幕からもうすぐ1ヶ月!まだ庵野秀明展に赴いていない人に告ぐ - 名古屋の地に現れた特撮×アニメの傑作の全貌を見逃すな!

『シン・仮面ライダー』はBlu-ray & DVDが11月20日(水)に発売されることが発表された4/22㈪
愛知会場に庵野秀明氏がサプライズ登場した

庵野秀明展では、彼の創作活動の秘密に迫るとともに、彼が手がけた過去の作品から最新作品までを網羅。膨大な直筆メモやイラスト、映像制作に欠かせない脚本や設定、さらには原画やミニチュアセットなど、多彩な制作資料を一堂に展示。その展示点数はなんと2000点を超えるボリューム感だ!
(※観覧には時間に余裕を持っていくことを強くおすすめします!)

展示会場では、庵野氏の創作活動の原点となった「アニメ」「特撮」の貴重な原画やミニチュアも多数展示。彼の作品がいかにして生まれ、成長してきたかを垣間見る機会となっている。さらに、庵野秀明展は全国各地を巡回しており、今開催中の名古屋がファイナルとなる。これまで巡回中も新たに公開される度、展示作品も追加されてきた。今回の愛知展では『シン・仮面ライダー』コーナーのマスクが全て揃う。『シン・仮面ライダー』はBlu-ray & DVDが11月20日(水)に発売されることも発表され、『シン・仮面ライダー』ブースは見逃せない!

庵野秀明が魅せる"メカニック"の世界 - 生命と機械の交差点に宿る創造の源

ご実家で実際に使われていた足踏みミシン

入場すると目に飛び込んでくるのは、庵野秀明がアニメーター・映画監督への道を歩み始めたきっかけとなった数々の展示物である。代表作の『エヴァンゲリオン』シリーズをはじめ、『風の谷のナウシカ』の巨神兵や使徒など、庵野作品に登場する機械的な存在"メカニック"は、生物的な要素も併せ持つリアリスティックなデザインが魅力だ。
そんなメカニックへの造詣の原点は、なんと実家の足踏みミシンだった。会場には、実際にミシンが展示されており、来場者は庵野秀明のルーツに触れることができる。さらに、特撮で使用された実物の戦闘機や、デザイナー成田亨の複製画も並び、若き日の庵野秀明がどのようにメカニックの世界に惹かれていったかがうかがえる。

マニアポイント①

仮面ライダーに扮してほほ笑む若き日の庵野秀明がお出迎え

まず特撮ファンなら、最初の部屋でもう足止めを食らってしまうはずだが、実はこの第1章の部屋に入る前に重要ポイントがあるのでお伝えしておきたい。
若き日の庵野秀明が仮面ライダーに扮して微笑み出迎えてくれる入り口。是非ここで立ち止まり、左に映し出されている映像に注目していただきたい!あれこそが庵野秀明が「影響をうけた」と断言する映像シーンなのだ。本人が厳選し、編集したものが投影されている。全映像をチェックしてから入場しよう!

マニアポイント②

実際に撮影所で使われていた「箱馬」

本展覧会の最初の部屋では、特撮で使用された戦闘機たちに目も心も惹かれてしまうだろう。しかし、さらにその展示物のまわりにも注視してほしい。撮影現場で使われる「箱馬」という木箱が展示されているのだ。「箱馬」は撮影時に高さを調節するために用いられたり、スタッフが食事をする際の椅子になったりと、撮影現場では万能な箱として重宝される。萌えポイントは「東宝」や「特撮研究所」など実際つかわれていた現場の名前が記されている点だ。ぜひチェックしてほしい。

無名時代から芽生えたクリエイターへの夢 - 庵野秀明の創世を垣間見る

『じょうぶなタイヤ』の原画

この展覧会では、クリエイターとして無名だった頃の庵野秀明の作品を数多く見ることができる。誰もが知るDAICON 3のアニメや『じょうぶなタイヤ』といった初期の代表作に加え、中学生時代に描いた漫画の原画までが展示されているのだ。ノートに鉛筆で描かれたその漫画は、まさに庵野秀明の創作の原点そのものを垣間見せてくれる資料となっている。

映像作品以外の素材からも、クリエイターとしての庵野の芽生えを感じ取ることができよう。さらに高校時代の美術部で手がけた特撮やアニメ制作の軌跡も追うことができる。これらの展示を通じて、プロフェッショナルになる前の庵野秀明の姿に触れ、その原点に立ち会えるのが本展の大きな魅力なのだ。

青春時代の軌跡が語るアニメーターへの道のり - 庵野秀明の青春群像

戦闘機サイズにもこだわったという話はファンなら誰もが知るところ。その戦闘機…見れます!

この展覧会では、庵野秀明が大学生時代に手がけた作品の数々も公開されている。特にDAICON 3の貴重な絵コンテや作画用紙は必見だ。特撮に憧れた人ならば、『帰ってきたウルトラマン』で実際に使用された戦闘機やカラータイマーなどの展示品に心躍らせるに違いない。

実際はかなりシビアな状況だったのかもしれないがとてもユーモラスで可愛い

さらに、アニメーターとしてのキャリアが始まった頃の庵野秀明の足跡も辿ることができる。『風の谷のナウシカ』の作画用紙には、宮崎駿やアニメーター仲間との書き込みがあり、若き日の庵野の姿が浮かび上がってくる。

これらの展示を前にすれば、単なるファンを超えて、クリエイターとしての庵野秀明の原点に立ち会えるだろう。大学時代の特撮への思い、アニメーター時代の苦労や喜びなど、プロフェッショナルへの歩みを追体験できる。

エヴァンゲリオン』シリーズ誕生の軌跡 - 設定画から辿る生成の歴史

『エヴァンゲリオン』シリーズの設定画

この展覧会で最も目を奪われるのは、『エヴァンゲリオン』シリーズの設定画の数々ではないだろうか。
初号機がいかにしてあの独特の姿に至ったのか、その制作過程を一連の設定画から辿ることができる。ラフデッサンから始まり、徐々に形状が決まり、最終的な姿へと変化していく様子が、克明に公開されている。完成形だけでなく、試行錯誤の過程までが明らかにされている点が、この展示の醍醐味といえよう。

設定画以外にも、『エヴァ』の世界観を体感できる数々の展示が用意されている。作品の核心に迫る、まさに『エヴァ』愛を堪能できるブースである。
『エヴァンゲリオン』シリーズファンはもちろん、そうでない人でもクリエイターの創作の苦労や工夫が垣間見える貴重な機会となるにちがいない。

最新作品の核心に迫る

『シン・ゴジラ』の進化する姿を模した立体模型

庵野秀明が参加する『シン・』を冠とした作品の展示コーナーは見応えたっぷりだ。
『シン・ゴジラ』の進化する姿を模した立体模型は圧巻の出来映えで、まるで本物のような迫力!
ゴジラの進化する姿を模した様々な形態の模型が間近で見られる。第4、第5形態といった代表的な姿はもちろん、さらに進化を遂げた形態の模型までが展示されている。
作品の世界観を体感できる展示も目白押しだ。

『シン・エヴァンゲリオン』第3村が再現されている
いろんな角度から街を覗いて自分好みの画角を見つける楽しみ方もおすすめ

『シン・エヴァンゲリオン』で使用された、壊滅的な戦闘後の街並みを再現した大がかりな模型は必見!
模型がリアルすぎて…筆者は会場に訪れる度に見て思う…「誰か住んでそう」
さらに『シン・ウルトラマン』で実際に使われたベーターカプセルなどの小道具も展示され、まるで作品の中に入り込んだかのような体験ができる。

『シン・仮面ライダー』では、名古屋会場ならではの仕掛けが光る。愛知展からチョウオーグなど3点が追加され、作中で使用された全てのマスクが揃った!このマスクワールドが完成した点も推しポイントだが、それよりも360度から見渡せる展示方法を声高らかに推したいし、褒め称えたい!マスクの裏側まで観察できるのはファン垂涎の展示だ。(※後頭部に刻印されいているショッカーマークを撮影できるのは名古屋だけ!)

創造の原風景に触れる絶景 - 「庵野秀明の森」探検記

 庵野秀明展は「単なる」展示会ではない。彼の創造した世界への入り口であり、生み出す作品の奥深くを探究できる場所だ。アニメや特撮を作品として楽しむだけでなく、制作過程やクリエイターの思いまで感じ取れるこの展覧会。スタッフ曰く「見どころは全部」と力を込める。展示数2千点を誇る当展覧会だが、本当は2万点並べてもた足りないとのこと。その中から選りすぐって展示した展示物…ぜひ隅々までじっくり見てほしいと熱く語った。また、この展覧会を「庵野の森」と表現し、植物採集や昆虫採集をするように、ワクワクとともに色んな発見を持ち帰って欲しいとのこと。

(庵野の森にはハマってしまう沼もあるから要注意だ…ハマったら開館時間内に帰れなくなってしまう危険が…苦笑)

まだ訪れていない方は、庵野秀明展ファイナルとなる名古屋会場にぜひ足を運んでほしい!  

庵野秀明氏と地元の学生(第3村ミニチュアセットの展示作業に携わった学生たち)と記念撮影

<番外編>
庵野監督が語る「多様性と創造」の重要性

4月22日(月)、巡回展の最終会場である名古屋に庵野秀明監督本人が降臨した。この展覧会は、監督の創作の原点に迫る内容となっており、監督自らが「恥ずかしい展覧会がようやく終わる」と冗談を言いつつも、各地で大盛況だったことに嬉しそうな表情を見せていた。

地元の学生(第3村ミニチュアセットの展示作業に携わった学生たち)との対話では、庵野監督は若い世代を「わからない存在同士」と述べつつ、「でも、そういった異なる意見や考えを持つ存在同士で良いと思う」と前向きな姿勢を見せた。

庵野監督は「作品とは観る人がいてこそ完成する」と述べ、観客が面白いと感じることを最優先する姿勢を示した。そのため制作形態については、「正解はない。チーム制作なら多様な発想に触れられるメリットがあり、個人の自由な創作も素晴らしい」と語った。
学生から「ひとりで取り組んできたがチームも楽しい」との言葉があると、「人数が増えれば人間関係の大変さも出てくるが、違う視点が持ち込まれることで、観客を楽しませる作品になる可能性も高まる」と、チーム制作のメリットを説きつつ、個人作品の価値も認めるエールを送った。

つまり、監督は観客のために尽くすという姿勢から、作品を最大限楽しませるには、チームと個人の長所を認めつつ、多角的な視点を重視していたということだろう。
お互いを受け入れ、新しい創造を生み出していく。庵野秀明監督の作品作りへの姿勢が伝わるシーンだった。


【イベント詳細】庵野秀明展

期間:2024年4月13日(土)~6月23日(日) ※会期中無休
開館時間:9:30~17:00/ 金・土 9:30~20:00※入場は閉館の30分前まで
場所:金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)
   名古屋市中区金山町1-1-1
主催:テレビ愛知、時事通信、BVコミュニケーションズ
共催:中日新聞社

後 援:名古屋市、名古屋市教育委員会、愛知県、愛知県教育委員会、ZIP-FM
企画:庵野秀明展実行委員会
協力:DNP大日本印刷
企画協力:カラー、グラウンドワークス、アニメ特撮アーカイブ機構
展覧会HP: https://www.annohideakiten.jp/
展覧会X: https://twitter.com/annohideakiten
チケット:当日券(税込)
・大人2,000円

子供(小学生以上中学生以下)600円
・学生(高・大・専門)1,600円

シニア(65才以上) 1,900円


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