名古屋市東区にある【横山美術館】にて5月12日まで開催中の展覧会「隅田焼の世界」!ユーモラスな芸術のパワーを全身たっぷり浴びてきたので…その興奮と感動をお伝えします!

名古屋市東区にある【横山美術館】にて5月12日まで開催中の展覧会「隅田焼の世界」!ユーモラスな芸術のパワーを全身たっぷり浴びてきたので…その興奮と感動をお伝えします!

名古屋市東区にある横山美術館では今、この貴重な隅田焼を堪能できる「隅田焼の世界」の展覧会が開催中だ。「焼物」マニアを公言する事務局:田中がこの展覧会を訪れた感動をリポートする。

目次

◆世界初!隅田焼の全貌に迫る企画展

◆隅田焼を彩った偉大な先駆者

◆後進育成にも尽力!隅田焼の発展に貢献

◆時代を超える隅田焼!国内異端から国際的称賛へ

◆逆輸入の魅力!世界が認めた後に日本が再発見

◆隅田焼の秘密!独自の素材と技法が生み出す芸術

◆愛嬌ある造形美の世界!井上良齊と高浮彫技法

◆2月から始まった展覧会もいよいよ5月12日でフィナーレ

◆世界初!隅田焼の全貌に迫る企画展

ユーモラスで繊細、歴史を紐解く芸術体験

美術館の常設展示でもそのユーモラスな姿を見せている隅田焼だが、今回のように隅田焼だけに焦点を当てた展示会は世界初!この展覧会では、繊細な美しさと面白さ、その歴史的背景をも学ぶことがでる。

どっぷり隅田焼の魅力に浸れる幸せ…すっかり沼にハマってしまった私、田中が「ここが推しだよ隅田焼」という完全ファン目線でお伝えしようと思う。

◆隅田焼を彩った偉大な先駆者

井上良齊
(明治時代~大正時代)
「見ざる言わざる聞かざる」
井上良齊 (明治時代~大正時代) 「見ざる言わざる聞かざる像」

隅田焼のルーツはここ愛知にあり

明治時代隅田焼は、その名の通り隅田川の近くで誕生した。この技法を確立したのは、瀬戸市出身の井上良齊。一説では、隅田エリアで盛んだった今戸焼の技術を学び、独自の隅田焼を創出したと考えられている。(諸説あり)

◆後進育成にも尽力!隅田焼の発展に貢献

脈々と受け継がれた芸術作品の数々

明治8年(1875)に東京で初めての磁器窯を築いた井上は、多くの弟子たちを輩出。中でも石黒香々の作品はこの横山美術館には多く展示されている。ぜひ注目して観て欲しい。

◆時代を超える隅田焼!国内異端から国際的称賛へ

石黒香々(明治前期~中期)【左】「高浮彫猿蓋付壺」【右】「高浮彫婦人と童子蓋付壺」

奇想天外の美、世界が愛した隅田焼の軌跡

今でこそ素晴らしいと高い評価を得ている隅田焼だが、制作されていた当時の風向きは違ったらしい。江戸時代末期から明治にかけての日本では、正統派の芸術が優れているとされ、斬新な発想や奇抜な作品は異端とされ評価されなかった。しかし、海外で異なる運命を辿る。「奇想」の性質を持つ隅田焼もまた欧米で爆発的な人気を博し、多くの作品が海を渡った。そのため国内での知名度が低く「隠れた伝統工芸」となった歴史がある。

◆逆輸入の魅力!世界が認めた後に日本が再発見

石黒香々(明治前期~中期)「高浮彫龍土瓶」

今も昔も日本の創造力が世界を魅了

日本国内では長らくその価値が見過ごされてきた隅田焼だが、海外で愛され続けた作品たちが「里帰り」する形で再び日本国内に姿を現し、改めてその価値が見直されるようになった。海外で先に評価され、後に日本でも再評価されるというパターンは、同じく「奇想芸術」の代表格として知られる伊藤若冲にも見られる流れだ。

井上良齊(明治前期~中期)「高浮彫お供え泥棒花瓶」
井上良齊(明治前期~中期)「高浮彫お供え泥棒花瓶」

ちなみに今アラフィフ以上の世代は「漫画なんて読んでないで・・・」と言われた記憶があるのではないだろうか。その「漫画」は今、世界中から絶賛されている。


…日本の「創造力」ってすごくない⁉︎

◆隅田焼の秘密!独自の素材と技法が生み出す芸術

原娪山(明治前期~中期)「高浮彫童子座る女形蓋付壺」

炻器質と高浮彫技法、隅田焼独特の魅力を探る

隅田焼が放つ独特の質感は、特有の製法から生まれる。その核心を成すのは、炻器質という素地に高浮彫技法を施し、さまざまな釉薬を巧みに使い分けて彩色して、赤や黒の塗料で仕上げることにある。炻器とはストーンウェアの日本語訳。この素材が持つ透光性の低さと吸水性の低さが、隅田焼特有の質感を創り出しているようだ。

◆愛嬌ある造形美の世界!井上良齊と高浮彫技法

井上良齊作品の愛らしさ:隅田焼が紡ぐ、物語と芸術の表現

隅田焼の魅力をいっそう引き立てるのが、その独創的な装飾技法、特に高浮彫の使用である。この技法では、立体的に成形された人物や動物などの造形物を器面に貼り付け、一緒に焼成することで、作品に深みと生命を吹き込む。井上良齊の手がけた隅田焼は、まさにこの高浮彫技法を駆使し、生き生きとした表現を追求した作品が数多く存在する。
高浮彫といえば「眞葛焼」の宮川香山が有名だ。精巧に造り込まれ本物のようなリアルさと美しさが特徴的な「眞葛焼」と比べると、「隅田焼」はザ・愛嬌!特に人物の…個性豊かな表情には感情があり魂が宿る。いたずら好きな妖精のようで実に愛おしい。陶器という限られた空間の中で、あたかも絵本のように語られる芸術。そこからは、製作者の創造する喜びまでも感じ取ることができる。

◆2月から始まった展覧会もいよいよ5月12日でフィナーレ

井上良齊(明治前期~中期)「高浮彫覗き込む童子水盤」

ゴールデンウィークにおすすめ!笑顔溢れる芸術の旅へ

今期の「隅田焼の世界」展によって、おそらく国内での価値は今後さらに高まるだろう。
隅田焼のユニークな装飾技法や生き生きとした表現は見ているだけでクスッと笑える。
家族や友達と一緒に、またはお一人様で、芸術体験をしてみてはいかがだろうか?
残りわずかとなった会期だが、ゴールデンウィークも開催中
まだ間に合う!ユーモアセンス抜群の隅田焼。
奇想の世界が堪能できる企画展を絶対に見逃さないでほしい!

【5月4日もチャンス!】
学芸員による解説付きで隅田焼の深遠な魅力を探求しよう!

【イベント詳細内容】

会期:2024年2月9日(金)~2024年5月12日(日)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日(祝・休日の場合開館、翌平日休館)
入館料:一般1,000円(800円)
    高・大学生・シニア65歳以上800円(600円)
    中学生600円(400円)
    小学生以下無料
*障がい者手帳をお持ちの方700円
*()は20名以上の団体料金
■ギャラリートーク(当館学芸員による作品解説)
日時:いずれも午後1時30分より1時間程度
2/17/(土)、3/2(土)、3/16(土)、4/6(土)、4/20(土)、5/4(土)
*事前申込不要、要入館料


【主催者情報】

横山美術館

公益財団法人横山美術館

〒461-0004
名古屋市東区葵一丁目1番21号
TEL : 052-931-0006
FAX : 052-931-0008
E-mail : 2017@yokoyama-art-museum.or.jp

〈アクセス〉
名古屋市営地下鉄東山線「新栄町」駅(1番出口)徒歩4分
名古屋市営地下鉄桜通線「高岳」駅(3番出口)徒歩4分

〈入館料〉
【企画展開催時】
一般:1,000円(800円)
高・大学生・65歳以上:800円(600円)
中学生:600円(400円)
小学生以下:無料 / 障がい者手帳をお持ちの方:700円(500円)
【常設展のみ開催時】
一般:700円(500円)
高・大学生・65歳以上:500円(300円)
中学生:400円(300円)
小学生以下:無料 / 障がい者手帳をお持ちの方:400円(300円)
*( )内は20名以上の団体料金

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